日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[3Ip] 加工、製造技術
高圧処理を施したソバの実のGABA生成挙動の速度論的解析
*小野沢 元貴石川 大太郎丹治 宏之藤井 智幸
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p. 362-

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抄録

【目的】200~400MPaの高圧処理は,一般に細胞組織を破壊するが,高分子成分には大きな影響を与えない.近年,生物素材に高圧処理を施すことで,膜構造や細胞組織が破壊され,内部での物質移動が促進したり酵素反応が加速したりするHi-Pit効果が注目されている.そして,Hi-Pit効果を活用してグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)の基質であるGluの供給と高圧処理を組み合わせ,農産物にγ-アミノ酪酸(GABA)を高含有させる技術開発が進められている.本研究では,ソバの実を対象とし,GABA生成反応に関して速度論的解析を行い,GABAを富化させる条件について実験的に検討した.

【方法】試料にソバの実(岩手県産)を選んだ.ソバの実をL(+)-グルタミン酸水素ナトリウム一水和物の濃度が0~0.5g/mlとなるように調整した溶液に20℃の恒温器内で22時間浸漬させた.雑菌の影響を抑制するため,浸漬液に最終濃度 0.2%(w/v)のアジ化ナトリウムを添加した.浸漬後真空包装し,200MPaまたは400MPaの高圧処理を25℃,保持時間10分で施した.除圧後25℃の恒温器内で最大4日間保存し,高圧処理試料を得た.保存中の遊離アミノ酸濃度を高速液体クロマトグラフィーで分析した.

【結果】除圧後の保存で多くの遊離アミノ酸濃度は増加した.これは高圧処理においてタンパク質分解酵素の活性が維持され反応が進行したことによるものと考えられた.さらに,GABA生成挙動について,初期Glu濃度を横軸に,GABA生成初速度を縦軸にプロットしたところ,未処理および高圧処理試料において極大が認められ,GADにおける基質阻害の影響と考えられた.基質阻害を考慮したミカエリスメンテン式を用いて速度パラメーターを算出したところ,Vmaxは圧力依存的に増加した.これは高圧処理による内部構造変化の違いが反映されたものと考えられた.

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