主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 44-
【目的】スパークリングワインは炭酸ガス封入法と二次発酵法とに分けられる.ベースワインを造った後,糖と酵母を添加して再度瓶内で発酵させるのが「瓶内二次発酵法」で複雑な香りと味わいを楽しむことができる.これまでにも瓶内二次発酵ワインの特徴香について報告されているが,単なる熟成か,瓶内二次発酵によって生じる成分かについては言及されていない.そこで本研究では熟成ではなく瓶内二次発酵工程がもたらす香気特徴を明らかにすることを目的とした.
【方法】サンプルはベースワインを冷蔵保存した「対照」,ベースワインを瓶内二次発酵させた「二次発酵」,ベースワインを二次発酵のサンプルと同じ温度下で保管した「熟成」の3種類を用いた.各サンプルを以下の方法で分析した.①メタボローム解析:SPME/溶媒抽出-GC-MS法で分析した.SPME-GC-MS法はサンプルを20mL 容のガラスバイアルに入れて密栓し,平衡化後,ファイバーに吸着・脱着し測定した.溶媒抽出-GC-MS法はサンプルにジクロロメタンを加え香気成分を抽出,濃縮して調製し測定した.②溶媒抽出-GC-Oによる差分分析:①の溶媒抽出液を用いてにおい嗅ぎ分析を行った.各方法で「対照」と「二次発酵」を比較して増加した成分かつ,その中で「熟成」と「二次発酵」を比較しても増加した香気成分を探索しGC-MSにて同定,定量した.これらの成分を「二次発酵特徴香候補」とした.リコンビネーション試験は「対照」に「二次発酵」中の含量と同等量になるように添加し,評価した.
【結果】成分探索の結果「二次発酵特徴香候補」として6成分が得られた.リコンビネーション試験でこれらの成分を添加したところ、まろやかさ,濃厚さ,余韻の長さが付与された.このことからこれらの成分が瓶内二次発酵の特徴的な香味に寄与していることが示された.