主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第71回大会
回次: 71
開催地: 名城大学
開催日: 2024/08/29 - 2024/08/31
p. 46-
【目的】
エチオピアとイエメンで生産されるコーヒー豆は,かつてイエメンのモカ港からヨーロッパへ輸出された歴史があり「モカコーヒー」と呼ばれる.中でも,伝統的なナチュラル精製の豆は、熟した果実やワイン様の発酵香(モカ香)が特徴とされる.その「モカ香」に寄与する香気成分に関しては,複数の報告があるものの,それらの知見ではモカ香を香料で表現することが難しかった.そこで,未知なるモカコーヒーの特徴香成分を解明することを目的として,エチオピア産ナチュラル精製コーヒー豆の詳細な香気分析を行った.
【方法】
市販のエチオピア産ナチュラル精製コーヒー豆をミル粉砕し,ジエチルエーテルにて抽出した後,抽出液をSAFE(Solvent Assisted Flavor Evaporation)法により蒸留した.得られた香気濃縮物についてAEDA(Aroma Extract Dilution Analysis)法を用いて,試料の特徴的香気に寄与する成分を絞り込んだ.「フルーティ」な香気として検出された微量不明成分について1次元2次元切替GC-O/MSにより分析した.
【結果】
AEDA法の結果,4-hydroxy-2,5-dimethylfuran-3(2H)-one,3-mercapto-3-methylbutyl formate,furfuryl mercaptan,guaiacol,3-methylbutanoic acid,β-damascenoneなどが高いFD(Flavor Dilution)値で検出された.また,FD値は高くないものの「フルーティ」な香気の微量不明成分が検出された.その不明成分を同定するために1次元2次元切替GC-O/MSにより分析した結果,コーヒーの香気成分としてはこれまで報告のない脂肪酸エチルエステル類を同定した.