日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第71回 (2024)
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[2Dp] 食品分析
固体NMRによるパンの老化におけるデンプン構造の解析
*曳地 結衣森田 亜紀加藤 悦子
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p. 70-

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抄録

【目的】

パンの焼成後の食感変化には小麦粉の主成分であるデンプンの高次構造が関わっている.現在までにX線回折法や電子顕微鏡などによりデンプンの高次構造についての研究が行われてきたが,これらの手法は物性に影響を与える非晶構造情報を得ることが得意ではない.一方,固体NMRは結晶と非晶構造を同時に解明できることから,デンプン構造に関しても有用な知見が得られることが報告されている(例えば,Katoh et al. ASC Omega 2020).本研究では,固体NMR測定により老化したパンのデンプン構造を明らかにするとともに,構造と物性との相関について解明する.

【方法】

配合および保存条件の異なるパンを調製し凍結乾燥後粉砕した試料を固体¹³C NMR用のサンプルとして用いた.測定はBruker社製 Avance600ワイドボアにCP/MASプローブを装着し行った.サンプルは4 mmのジルコニアローターに充填し,測定を行った.測定データはTop Spin 3.6.0(Bruker社)により処理を行った.

【結果】

小麦粉と焼成後のパンの¹³C CP/MAS NMRスペクトルを比較した結果,小麦粉におけるデンプンではA-typeの結晶構造が確認できたが,焼成後では結晶構造は消失し非晶構造になっていることがわかった.また,焼成後は保存日数の経過や配合の違いにより,デンプンのC1およびC6のシグナル(これらの信号は他のデンプンの信号とは分離していて詳細な解析が可能)が明確に変化しており,デンプン構造に違いがあることが分かった.現在,得られたNMRスペクトルの波形解析を行い定量的な解析を進めている.発表では,配合および保存温度や日数の異なるパンについて固体NMRにより得られた詳細なデンプンの構造変化と物性との相関について発表する予定である.

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