日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 2Ep07
会議情報

[2Ep01-10] 生理活性物質、食品分析
焼成多孔性シリカゲルを用いた大豆タンパク質由来膵リパーゼ阻害ペプチドの濃縮
石井 悠介松永 裕太秋山 裕和清水 一憲*本多 裕之
著者情報
会議録・要旨集 オープンアクセス

詳細
抄録

[目的] 膵リパーゼは消化管内では胆汁酸ミセル上の油水界面に局在化し,脂質吸収に関わる.膵リパーゼ阻害ペプチドは肥満解消のための機能性分子として注目される.我々が開発した焼成多孔性シリカゲル(HTシリカ)は,中性条件で吸着,酸性条件で脱離させることでタンパク質加水分解物中から塩基性かつ疎水性のペプチドを選択的に濃縮できる.この物理化学的性質を示すペプチドは,タウロコール酸(TCA)などの胆汁酸に強く結合する.一方,膵リパーゼは胆汁酸で活性化することが知られている.そこで本研究では,食品タンパク質加水分解物を調整し,HTシリカで膵リパーゼ阻害ペプチドを簡便に濃縮し,活性阻害の責任ペプチドを明らかにするとともに,胆汁酸結合活性との関連性を調べた.[方法] 本研究では,カゼイン,大豆,エンドウ豆,および米胚乳の4種類の食品タンパク質をペプシンにより3時間加水分解し,その後,我々の研究室が開発したHTシリカを用いて吸脱着処理を行った.大豆タンパク質加水分解物(SPH)について,吸脱着処理前(before)および処理後(after)のサンプルをLC-MS/MS解析を行い,ペプチドを同定した.SPH(after)で含量が有意に高いペプチドを合成し,膵リパーゼを活性化するタウロコール酸塩(TCA)添加条件で阻害活性を評価した.胆汁酸結合活性は胆汁酸ミセル崩壊活性で評価した.[結果] 膵リパーゼ活性は,1mMのTCAを添加したところ,2.5倍以上に上昇し,胆汁酸による活性化を確認した.この条件下で食品タンパク質加水分解物の膵リパーゼ阻害活性を比較した結果,大豆の活性が最も高かった.この試料を,HTシリカで吸脱着処理した結果,阻害活性が濃縮前に比べ2.5倍以上に上昇し,膵リパーゼ阻害ペプチドの濃縮に成功した.LC-MS/MS解析し,含量が高い(Z score≧2)ペプチド38個を同定した.38個のペプチドを合成し,膵リパーゼ阻害活性をTCA0mM,1mMで評価した.9個のペプチドが,TCA存在下で膵リパーゼ活性を低下させる作用があり,責任ペプチドと考えられた.これらのペプチドのうち7個は50%以上のミセル崩壊活性を示し,3個はTCA無添加で活性を示さなかった.これら3個のペプチドはリパーゼに直接作用しないことを示唆していることから,胆汁酸による活性化を阻害することで活性を低下させるペプチドと考えられた.

著者関連情報
© 2025 公益社団法人 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top