【目的】丹波黒枝豆の収穫期間は,通常10月の中旬の2週間程度に限られている.適期を過ぎると,莢や種皮の変色が目立ち市場価値は低下するが,風味の変化は生産地では好まれる場合がある.本研究では,昨年度に引き続き,販売期間の延長および利用の拡大を目的として,丹波黒枝豆の長期収穫による官能特性の変化と成分の関係について検討した.
【方法】丹波篠山市の単一圃場において2024年に慣行栽培された枝豆を10月11,18日(前半),10月25日と11月1日(後半)に収穫した.収穫後,直ちにまたは沸騰水中で5分間加熱浸漬処理後,−30℃下で評価まで保存した.官能評価および味覚センサー(TS-5000Z)により味の評価を行った.また,遊離アミノ酸,遊離糖,サポニン,イソフラボンおよび種皮に含まれるアントシアニン,プロアントシアニジンの分析を行った.
【結果】官能評価の結果,収穫前半と後半では食味の特徴が異なっており,後半には苦渋味が加わるとともに,コクが増強された.また,種皮の有無による違いもみられ,種皮の存在により苦渋味やコクが強く認識される傾向があった.味覚センサーの結果からも収穫期が遅くになるにつれてコクや濃厚感,渋味の数値が増加した.また,種皮の存在により,コク,濃厚感,旨味の数値も増加した.成分分析の結果,イソフラボンとアントシアニンは収穫期間を通して増加し,11月1日は10月11日と比較して顕著な蓄積が認められた.プロアントシアニジンも後半に増加した.他の成分は,前半と後半の比較では大きな差はみられなかった.イソフラボンやプロアントシアニジンは,単独では低い閾値で苦渋味を呈するが,収穫期間が長くなることによって含量が増加し,sensory-active compoundとしてコクや濃厚感などの味の複雑性に影響すると考えられた.これらの結果は,2023年産の評価と同様の傾向を示した.