主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】過酸化物価(POV)は油脂の劣化指標の一つであり,油脂や食品・飼料等の品質管理に使用されている.現在,POVの測定に汎用されている基準油脂分析試験法(日本油化学会)の酢酸-イソオクタン法(酢イソ法)は,飼料原料の魚粉では測定不能などの問題が認められた.我々は飽和ヨウ化カリウム溶液の添加量及び反応後の静置時間を変更し問題を解決した特定化学物質を用いない改良法を報告した*.本研究では,POV測定に影響を与える要因を明らかにし,また改良法の幅広い試料への適用可能性について検討した.【方法】魚粉の抽出油について採取量を変化させ,酢イソ法,酢酸-クロロホルム法(酢クロ法)及び改良法でPOVを測定し,その相関を確認した.また,魚粉抽出油の主成分のリン脂質に着目し,植物油にリン脂質濃度を変化させ添加し測定するとともに,リン脂質を多く含む試料についても測定し影響を確認した.さらに,リン脂質の乳化作用がPOV測定を阻害することを予想し,乳化剤であるポリソルベート80を用いて同様に測定し,その影響を確認した.【結果】魚粉抽出油の採取量が多いほどPOVは低値を示したことから,マトリックスの影響が確認でき,リン脂質の添加試験においても濃度依存的に低値を示した.このことから,POV測定における阻害要因の一つがリン脂質であることが分かった.また,ポリソルベート80についても同様の傾向を示した.この阻害は酢イソ法で最も強く認められ,改良法及び酢クロ法は同様の挙動を示した.リン脂質を含有する食品のPOVは改良法と酢クロ法で同等の結果が得られた.以上より,現在汎用されている酢イソ法では,リン脂質をはじめとする乳化作用を有す成分が測定値に影響を与え,その影響を抑えた改良法はそれらの有無にかかわらず幅広い試料に適用可能であることが確認できた.*伊藤ら,第79回日本栄養・食糧学会大会要旨集,p222