日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Ga09
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[3Ga01-10] 食品分析
有機溶媒を使用しない遠心分離による過酸化物価分析用油脂抽出法のナッツ類への適用
*塩野 忠彦重田 有仁金﨑 真悠大上 真歩
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抄録

【目的】労働安全衛生法令の改正により,化学物質管理の強化が義務化されたことに伴い,食品製造企業では健康管理やコスト面等から品質管理に使用する有機溶媒使用量削減のニーズが高まっている.演者らは,これまで低水分フライ菓子製品(ポテトチップスやいかフライ等)から有機溶媒を用いることなく,遠心分離により油脂抽出を行う方法(遠心抽出法)について報告した.一方,ナッツ類で遠心抽出法を試みたところ,抽出油の回収率がフライ菓子製品に比べ極端に低くなる傾向が見られた.本報告では,ナッツ類に遠心抽出法を適用する際に効率的な条件を探索し,回収率が改善したことを報告する.

【方法】粉砕した試料(ピーナッツ)に蒸留水を加え混合した後,不織布製袋に充填し,50ml容の遠沈管に入れ,油脂抽出率を高めるために恒温器で加温した.次いで,遠心分離(2 200g,30分間,室温)により試料から油脂を抽出した.遠心抽出後,3%(w/w)NaCl溶液を混合・遠心分離することにより,洗浄・夾雑物除去した.さらに,油層の回収率を高めるために水層のゲル化を行った後に,遠心分離した。遠心分離により得られた上層の油脂を回収し,過酸化物価分析試料とした.対照としてジエチルエーテル抽出法(基準油脂分析試験法 参2.5.1-2013,日本油化学会)に準じて抽出(以下,溶媒抽出法)を行い,過酸化物価分析に用いた.過酸化物価(PV)は,クロロホルム法(基準油脂分析試験法 参1.4-2013,日本油化学会)に準じて行った.

【結果】ナッツ類は,前処理として粉砕試料へ水を添加することにより,抽出油の回収率が約2倍に上昇した.遠心抽出法のPVは溶媒抽出法に対して約7%高い値であり,移転企業が想定する約10%差以内であった.以上の結果から,本改良抽出法は,安全でランニングコストや手間を大きく増やすことなく,回収率向上の可能性が示唆された.

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