主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】ブランデーは果実を原料とした蒸留酒の一種であり,主に白ブドウから製造される.製造プロセスは,果汁の発酵によるワイン醸造,蒸留および樽内熟成から構成されるが、熟成期間はブランデーの等級を決める指標の一つであり,期間が長いほど高級で高品質とされる.熟成工程では,樽からの成分の溶出,水・エタノールの蒸発に伴う成分の濃縮,その他様々な化学変化が起こることが知られており,ウッディー,スパイシー,ドライフツールなどの特徴的な香気が付与され,まろやかな口当たりになる.これまでもブランデーの熟成期間と香気成分の関連を明らかにする報告はされているが,香味特徴との関連について言及している報告はほとんどない.そこで本研究では,メタボローム解析により熟成による特徴香を解明することを目的とした.
【方法】サンプルはフランス産のコニャックを中心に熟成期間が2~50年の市販ブランデー17点を使用した.サンプルにジクロロメタンを加え香気成分を抽出,濃縮して測定液を調製し,GC-MSで測定した.メタボローム解析を行い,内部標準との比較により半定量値を算出した.半定量値を用いて,香気成分の寄与度を評価する指標であるOdor Activity Value(OAV:濃度÷閾値)を算出した.OAVの高い成分から熟成期間との関係について調査した.
【結果】メタボローム解析の結果,17点のブランデーから89種類の香気成分が検出された. OAVの値と熟成期間と成分含量の関係を確認した結果,特徴香の候補成分としてEthyl isobutyrate,Ethyl isovalerate,Ethyl 2-methylbutyrateの3成分が得られた.定量分析の結果,熟成期間が40年以上のものでは20年未満のものと比較して,2.4~14.0倍であったことから,これらの成分は熟成期間が長くなるにつれて増加すると考えられた.