主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】
バラ生花由来の香気成分は果実由来に比べると不安定なものが多く,抽出効率の低さや成分変質等に課題がある.これまでの研究で私達は分留および乳化加工,凍結融解濃縮を併用することで,柚子柑橘から多種類の香気成分を含む抽出液の作製を報告している.本研究ではバラ生花から香気成分を効率的に抽出する為,生花での香気成分の局在性や開花状態,品種間の違い,抽出条件による成分の損失変動等について検討を行った.
【方法】
試験材料には松本商店バラ農園で栽培した3品種のバラ(Pixie種,Mister Lincoln種,Original A種)を用いた.生花試料は収穫後すぐに,花弁を外側から順に取り外して,花弁部を3区分(外側,中間,中心部)に分けて実験に使用した.香気成分抽出には水蒸気蒸留および溶媒浸漬で行い,エタノール濃度の異なる溶媒を用いた.香気成分分析には,コーティング相がDVB/CAR/PDMSの固相マイクロ抽出(SPME)ファイバーを用いたGC-MSシステム(Shimazu QP-2010Plus)で分析した.分析カラムはDB-Heavy WAX(60m, ID 0.32mm, フィルム厚 0.25µm)を使用し,質量分析は1-70分でのSIM解析を行い,検出成分は各ピークの時間とライブラリーのマスフラグメントとの一致から同定した.
【結果】
バラ花弁をGC-MSで解析した結果,香気成分としてPixie種で約28成分,Mister Lincoln種で約19成分,Original A種で約24成分の化合物が認められた.Hexanol類,Geraniol類,Citronellol類など10種類の化合物が3品種共通で認められた.生花における局在について,外側より中心部の花弁で3品種とも香気成分が多く検出され,開花具合に関しては小開状態が最も香気成分の検出量が多く認められた.香気成分の抽出に関して,α-Citral, β-Citronellol, cis-およびtrans-Geraniol,β-Phenethyl acetate, 3,5-Dimethoxytoluene等の成分が溶媒中のエタノール濃度に依存して減少することが認められた.以上の結果から,バラ花弁の香気成分抽出について,開花具合や採取部位,溶媒条件等で得られる香気成分の違いに関する知見が得られ,目的に応じた抽出条件の選定に利用できる可能性が示された.