日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Ma02
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[3Ma01-10] 発酵,酵素利用
発酵中および保存中の容器ヘッドスペース酸素濃度低減によるビフィズス菌入り発酵乳の生残性および風味への影響の研究
*桒野 靖之田中 愛美笠原 日菜子丸山 広志井上 肇
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抄録

【目的】

発酵乳には一般的に乳酸菌(LB菌;Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus,ST菌;Streptococcus thermophilus)が用いられるが,近年は乳酸菌に加えてビフィズス菌,特にヒトの腸内に常在するHuman-Residential-Bifidobacterium(HRB)を用いた機能性発酵乳が開発されている。HRBを用いた機能性発酵乳は,HRBによる整腸効果等の生理機能が期待できる一方で,乳酸菌と比較して保存中の生残性が高くないこと,酢酸をはじめとした代表的な代謝産物に由来する特有の風味特徴があることから,発酵乳としての活用が難しい点が課題であった。そこで,本研究ではこれら課題を解決する方法として容器ヘッドスペース(以下HS)内の酸素濃度に注目して研究を行った。

【方法】

殺菌済脱脂粉乳還元溶液および殺菌済牛乳に対し,LB菌,ST菌,Bifidobacterium longum subsp. longumBifidobacterium breveを組み合わせて種菌とした発酵前調乳液を複数調製した。調乳液をカップに充填し,Anoxomat容器内で37℃でpH4.7まで発酵させた後,10℃で静置保存した。なお,Anoxomatは容器内の気体組成を自由に調整可能な機器であり,発酵開始前に,容器内の酸素濃度を複数パターン(2-10%)に調整した後に発酵に供した。調製サンプルの評価手法としては,サンプル作成翌日および10℃で20日保存後に官能評価およびビフィズス菌数を測定(TOSムピロシン寒天培地を用いたISO法)した。

【結果】

HS酸素濃度を調整することにより,サンプル作成翌日および保存後の両方で複数の官能評価項目に変化が確認され,美味しさが有意に向上していた。さらに,10℃保存後のビフィズス菌生残率も有意に改善されていた。この結果から,ビフィズス菌入り発酵乳における発酵中および保存中の容器HS酸素濃度の低減はビフィズス菌入り発酵乳の課題であった菌生残性および風味の両面を大きく改善することが明らかとなった。これにより,消費者により高品質なビフィズス菌入り発酵乳を提供すること,賞味期限延長による食品廃棄ロスを削減することが可能になると考えている。

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