日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Ma03
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[3Ma01-10] 発酵,酵素利用
マスカット・ベーリーAワインの醸造条件の違いが4-Hydroxy-2,5-dimethyl-3(2H)-furanoneの濃度に及ぼす影響
*宮原 諒丞青木 萌華平田 佳佑渡辺 (斉藤) 史恵奥田 徹久本 雅嗣
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抄録

【目的】4-Hydroxy-2,5-dimethyl-3(2H)-furanone(HDMF)はフルーツやキャラメルのような甘い香りを持つ香気成分であり,日本固有の黒ブドウ品種であるマスカット・ベーリーA(MBA)を用いたワインでは他のVitis vinifera品種由来のワインと比較してHDMFが認識閾値を大きく上回る濃度で含まれ,MBAワインの特徴的な風味に関与している. 本研究ではMBAブドウのアルコール発酵におけるHDMFの挙動解析と,その含有量に影響を与える発酵条件について検討を行った.

【方法】MBAブドウを用いた醸造実験では,発酵中のpHを変化させた実験と浸漬期間を変化させた実験でワイン中のHDMF量及びHDMFの前駆体であるHDMF配糖体量の分析を行った.また,標品のHDMFを用いて異なるpHのモデルワイン溶液中でMBA果実組織粉末存在下でのHDMF減少量の測定とMBA果汁を異なるpHで発酵させた場合のHDMF配糖体の分解量を分析する実験を行った.

【結果】醸造実験でのワイン中のHDMF量及びHDMF配糖体量はpH3.0で最も高く,pH4.2で最も低い結果が得られた.モデルワイン溶液と果実組織を用いた実験では,果皮存在下では浸漬時間の増加とともにHDMFの濃度が減少し,pH 3.3以上では濃度減少に有意差は認められなかった.果肉存在下ではすべてのpH条件下で減少が観察され,高pH条件下で減少量が顕著になった.MBA果汁を用いた発酵実験ではHDMF濃度は発酵中に上昇し,最終濃度はpH4.2で最も高くなった.一方,HDMF配糖体の濃度は0時間から48時間まで増加し,その後pHが高くなるにつれて減少量に変化が現れた.これらの結果から,pHは果実組織へのHDMF吸着量とHDMF配糖体の分解に影響し,浸漬期間は果実組織へのHDMFの再吸着に影響することが示唆された.

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© 2025 公益社団法人 日本食品科学工学会

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