主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
p. 34-
【講演者の紹介】
山口 勇将(やまぐち ゆうすけ)日本大学 生物資源科学部 食品開発学科 准教授
略歴: 2014年 日本学術振興会特別研究員DC2、2015年 University of the Philippines visiting researcher、2016年東京農工大学大学院 連合農学研究科 応用生命科学専攻 卒業 博士(農学)、2016年東京農工大学 グローバルイノベーション研究院 特任助教、2017年〜日本大学 生物資源科学部 助手・助教・専任講師・准教授(現職)
タンパク質、ペプチドおよびアミノ酸は栄養素としての役割(一次機能)に加え、腸管内の代謝や反応を経て生理調節作用(三次機能)を発揮することが知られている。食品成分の健康機能性を最大限に発揮させるためには、腸管内での変換過程とその変換物による機能発現機序を解明することが重要である。しかし、in vitroで確認された機能が、in vivoで再現されない例も多く、これは腸内細菌や消化酵素、腸管上皮細胞など腸管内環境の複雑さに起因する。
本研究では、食品成分の腸管における代謝反応が機能発現の鍵となるという視点から、米アルブミン由来ペプチドおよびニンニク由来のアリイン(S-アリルシステインスルホキシド, ACSO)の二成分について検討した。米アルブミンは腸管内で高分子ペプチド(HMP)および低分子ペプチド(LMP)へ消化され、それぞれ異なるメカニズム(HMP:グルコースの吸着と拡散遅延、LMP:腸管糖輸送体SGLT1の発現抑制)により食後血糖上昇抑制作用を示すことを明らかにした。また、アリインは腸管内でジアリルジスルフィド(DADS)などに代謝され、これらの代謝物が肝臓において抗酸化・解毒酵素の発現誘導を介して肝障害を抑制すること、およびその作用がNrf2転写因子の活性化を伴うことを新たに見出した。さらに、アリイン自体にも同様の作用があることを示した。
本研究を通じ、食品成分が腸管内で代謝され機能を発揮する重要性を明確にし、機能性食品素材の開発において腸管内反応を考慮する必要性を提示した。