日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Ep05
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[3Ep01-11] 衛生、殺菌、抗菌
修正Gompertzモデルを用いたBacilllus属芽胞の加熱処理による損傷の定量的評価
*小野沢 元貴, 石川 大太郎, 福田 一輝, 上崎 菜穂子, 藤井 智幸
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抄録

【目的】近年,食品の品質保持を目的とした穏和な加熱殺菌が求められており,死滅に至らずに発生する損傷菌が食品の保存中に回復し,増殖すると食品の品質を損ねる可能性があるため,損傷菌を制御することが高品質で安全安心な食品の開発につながると考えられる.本研究ではBacillus属芽胞を対象に,異なる温度で加熱殺菌を行った際の損傷の定量的評価法について検討した.

【方法】Bacillus属2株(NBRC3134および自社分離株)を選び試験に供試した.1/15Mリン酸緩衝液(pH7.0)で10⁶ CFU/mLに調整した芽胞懸濁液をTDTチューブ(マルエム製)に溶封し,オイルバスを用いて生存数が約1オーダー低下する穏和な加熱条件で殺菌を行い,急冷し損傷芽胞懸濁液を得た.未処理芽胞懸濁液および損傷芽胞懸濁液を中試験管に分注したSCDブイヨン(島津ダイアノグティクス)に10² CFU/mLとなるように接種し,13℃保管中の生存数を経時的に測定した.得られた増殖曲線を修正Gompertzモデルでフィッティングし解析を行った.

【結果】チルド食品の保存温度に近い13℃で培養を行った結果,両菌株ともに加熱温度が高くなるほど未処理試料と比較して発育が遅延する傾向がみられた.修正Gompertzモデルを適用して速度論的パラメータを算出した結果,両菌株ともに加熱処理によって最大増殖速度はそれほど変化しなかったのに対し,誘導時間は加熱温度が高くなるほど増加する傾向がみられた.そこで,加熱による損傷の程度が誘導時間の増加に反映されていると考え,未処理試料に対する誘導時間の増加量を未処理試料の誘導時間で除することで損傷度を定義した.損傷度は加熱温度が高くなるほど大きくなる傾向がみられ,加熱温度に対して概ね線形関係を示した.以上の結果から,約1オーダーの穏和な加熱殺菌においては低温長時間殺菌よりも高温短時間殺菌の方が,効率的に損傷を与える可能性が示唆された.本研究で検討した13℃での培養に基づく損傷度評価は,穏和な加熱殺菌における損傷菌制御のための重要な定量的評価法になると考えられた.

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