日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 3Ep11
会議情報

[3Ep01-11] 衛生、殺菌、抗菌
グラム陽性細菌感染性バクテリオファージのレセプター結合タンパク改変による宿主域拡大に関する研究
*鴨崎 匠, 小野 浩, 篠崎 純子, 益田 時光, 宮本 敬久, 本城 賢一
著者情報
会議録・要旨集 オープンアクセス

詳細
抄録

【目的】バクテリオファージ(以下,ファージ)は細菌感染性のウイルスであり,他の抗菌剤とは異なる作用機序により殺菌効果を示す.また,ファージは高い宿主特異性を持ち,標的細菌の選択的制御を可能にする一方,その特異性は菌株毎で異なり,宿主域が狭くなるという課題もある.ファージの構造タンパク質であるReceptor binding protein (RBP)は,この高い宿主特異性に大きく寄与している.そこで本研究では,宿主域の拡大を目的として,1つのファージ粒子の中に複数種のRBPを組み込んだRBP置換ファージを作製ならびにその評価を行った.

【方法】Leuconostoc mesenteroides NBRC3832株(宿主菌)に異種ファージ由来2種のRBP(RBPLN34またはRBPmix)をそれぞれ発現する形質転換株を構築した.これらのRBP発現宿主菌に乳酸菌ファージvB_LmeS_w1(以下, LmeS)を感染させ,異種RBPをランダムに組み込んだファージ(LmeS-RBP­LN34またはLmeS-RBPmix)を作製し,液体培地中での抗菌力を評価した.また,現在,主要なグラム陽性食品汚染菌の一つであるStaphylococcus aureusに対するRBP置換ファージの作製も同様の方法で試みている.

【結果】宿主菌との共培養開始後6時間で,LmeS,LmeS-RBPLN34,LmeS-RBPmixはそれぞれ生菌数を3,4,5 log以上減少させ,RBP置換ファージにおいて–抗菌力の向上が確認された.この結果は,RBP置換ファージの宿主菌に対する吸着能が変化し,一部の耐性菌に対しても感染可能となったことで,宿主菌全体に対する抗菌力の向上に繋がったものと考えられた.一方,非宿主菌のL. mesenteroides 25株に対する抗菌力は改善されず宿主域の拡大は認められなかった.

著者関連情報
© 2025 公益社団法人 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top