日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
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シンポジウムA1: 産官学連携シンポジウム「持続可能性を高める新たなものづくり技術」 (産官学連携委員会・一般財団法人旗影会共催 後援:農林水産省)
農林水産・食品分野のイノベーション創出の促進
*今西 直人
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p. 5-

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抄録

【講演者の紹介】 

 今西 直人(いまにし なおと):農林水産省農林水産技術会議事務局 研究推進課産学連携室長

 略歴:2003年3月北海道大学農学部卒業,同年4月農林水産省入省.就農促進,スマート農業,みどりの食料システム戦略の推進等の施策に従事.2023年香川県農政水産部次長を経て,2025年4月より現職.

(1)食料・農業・農村をめぐる課題

 我が国の食料安全保障の確保に向けては、世界の食料の需給及び貿易が不安定な要素を有していることに鑑み、国内の農業生産の増大を図ることを基本として食料の安定的な供給を行うことが重要である。一方、国内の農業に目を向けると、農業者の減少・高齢化の著しい進展、人口減少に伴う国内市場の縮小、気候変動による異常気象の頻発化等、早急に対応すべき課題が山積している。

 このため、国においては、従来の食料・農業・農村基本法に基づく政策全般にわたる検証及び評価並びに今後20年程度を見据えた課題の整理を行い、基本理念や基本的な施策を見直し、基本法を改正(令和6年6月5日)したところである。さらに、改正基本法で掲げる「食料安全保障の確保」、「環境と調和のとれた食料システムの確立」、「多面的機能の発揮」、「農業の持続的な発展」、「農村の振興」の五つの基本理念に基づき、施策の方向性を具体化した「新たな食料・農業・農村基本計画」を令和7年4月11日に策定したところである。今後5年間は、新たな基本計画に基づき、農業の構造改革が集中的に進められることとなる。

(2)農林水産・食品分野のイノベーション創出の意義

 先にも述べたように、今後は基本計画に基づき、様々な具体的な施策が講じられることとなる。他方で、農林水産・食品分野では、農業者の減少等による労働力の不足や、気候変動による温暖化の影響などが急速に進む中、将来持続的に生産性向上を図っていくためには、栽培管理や既存技術の改善など従来の方法の延長線では解決が難しい課題を多く抱えている。

 このため、農林水産・食品分野におけるイノベーションの創出を促進し、社会課題の解決に有用な新技術が創出され、社会実装を進めることは、同分野の課題を解決するために必要である。

 農林水産省では、農林水産・食品分野のオープンイノベーションを促進するため、「『知』の集積と活用の場」を設置し、農林水産業・食品産業だけでなく、機械・化学・情報・金融など様々な分野の多様な知識・技術等の連携を進めている。また、技術開発から社会実装までの各段階の障壁を乗り越えられるよう、農林水産・食品分野の特性を踏まえた全体戦略を構築した上で、技術開発の発想から社会実装までの各段階における戦術を企画・実行するための支援を行うことにより、事業化を目指す企業等の取組を推進している。

 こうしたスタートアップや大学を含む産学官の連携による研究開発・社会実装を更に加速化することは、今後5年間の農業の構造改革にとって重要であると考えている。今後の取組の充実化に向けて、皆様の意見を賜りながら、一緒に考えていきたい。

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