日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 2Ap02
会議情報

[2Ap01-10] 食品機能 整腸作用、消化、吸収
高食物繊維小麦粉摂取による腸内環境改善を介した免疫調節効果の検証
*大友 雄登西辻 泰之野間 聡菊池 洋介広瀬 哲也塚本 一民
著者情報
会議録・要旨集 オープンアクセス

詳細
抄録

【目的】ヒトの腸内には1×1014個もの腸内細菌が存在し,腸内細菌の構成を始めとした腸内環境が腸管免疫系の維持や疾患予防に関与していると考えられている.高食物繊維小麦粉(HAW)は,レジスタントスターチ(RS)などの様々な発酵性食物繊維を含み,これまでにHAWの食物繊維添加による有益菌増加と有害菌減少を培養試験で確認している.本研究は,HAW摂取による腸内環境改善を介した免疫系への効果を検証することを目的とし,小規模なヒト試験を実施した(メディカルステーションクリニック倫理審査委員会承認,UMIN試験ID:UMIN000054868).【方法】風邪をひきやすい自覚があり,かつ排便回数が週5回以下,かつ疲労の自覚がある健常成人男女36名を無作為に3群(HAW高配合パン(RS5.9 g/日)摂取群,HAW低配合パン摂取群(RS3.7 g/日),プラセボ群)に分け,各試験食品を12週間連続摂取させた.免疫指標(便中分泌型免疫グロブリンA,プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)活性等)と腸内環境指標(腸内細菌の相対存在比率等)を評価した.【結果】解析対象者は33名であった.主要評価項目である便中分泌型免疫グロブリンAの有意な変動は確認できなかった(p > 0.05).HAW高配合パン摂取群は,プラセボ群より摂取開始12週間後のpDC活性(CD80)が有意に高かった(p = 0.03).更に,酪酸産生菌を含むFaecalibacterium 属の相対存在比率が有意に高く(p = 0.01),有害菌であるBilophila属が低い傾向となった(p = 0.09).HAW低配合パン摂取群は,プラセボ群より体調アンケートスコア(くしゃみ/鼻汁,喉の痛み,咳,関節痛,発汗,悪寒)が有意に低かった(p < 0.05).本研究より,HAW摂取による腸内環境改善を介した免疫調節効果が示唆されたため,今後は更なる検証を進める.

著者関連情報
© 2025 公益社団法人 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top