主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】
ごぼうはイヌリン (INU)やクロロゲン酸 (CGA)を多く含み, 焙煎により抗酸化性が増加することが報告されている. イヌリンやフラクトオリゴ糖 (FOS)はビフィズス菌の増殖を促進するプレバイオティクスであるが, 近年, 非アルコール性脂肪肝疾患などの肥満関連疾患に対する腸内環境の改善を通じた予防効果が注目されている. 本研究では焙煎ごぼう茶葉 (BT)を含む加工食品の腸内菌叢へ及ぼす影響を明らかにするため高脂肪食マウスおよびヒト糞便培養系を用いて検討した.
【方法】
5週齢のddY雄性マウスを5群に分け, CE群には通常飼料 (CE-2)と蒸留水 (DW), HFD群には高脂肪食 (HFD32)とDW, BT熱水抽出液 (BTE)群, INU群, CGA群にHFD32と各飲料を21日間自由摂取させた. 飼育終了後, 血中の脂質レベルとAST, ALT, 盲腸内容物の有機酸量を測定し, 糞便細菌叢を16S rDNAアンプリコンシーケンス法で解析した. ヒト糞便培養実験では85%エタノール洗浄BT粉末 (40 mg/mL), FOS (4 mg/mL), BT+FOS (BF)を含むGAM1/4培地 (5 mL)に糞便スラリーを接種し, 嫌気条件下で37℃, 24時間振盪培養 (60 rpm)後, 有機酸と菌叢を解析した. 菌叢解析で得られた塩基配列についてMicrobiomeAnalyst, Tax4fun2, KEGGを用いて代謝機能を予測した.
【結果】
HFD群で血中ASTとALTが上昇したが, BTE群でASTの上昇が有意に抑制された. BTE群とCGA群で盲腸内容物のプロピオン酸および酢酸が増加した. 糞便菌叢解析の結果, BTE群で腸腫瘍の抑制や免疫調節に関与するFaecalibaculumとAllobaculumの増加が示された. 代謝機能予測では BTE群でヒスチジンとトリプトファン生合成が高い傾向にあった. ヒト糞便培養系ではBTによって乳酸と酢酸が有意に上昇し, 腐敗性化合物の産生が抑制された. 菌叢解析では, BTおよびBFにおいてBifidobacterium と酪酸生成菌であるFaecalibacteriumが増加した. また, ヒト糞便培養系においてもヒスチジン生合成が促進されることが示唆された. これらの結果から, ごぼう茶成分には高脂肪食によって誘導される炎症を抑制する効果が期待され, その効果には腸内細菌の代謝機能が関与していることが示唆された.