日本食品科学工学会大会講演要旨集
Online ISSN : 2759-3843
第72回 (2025)
セッションID: 2Bp-07
会議情報

[2Bp01-10] 食品機能 血糖調節、骨代謝、ミネラル代謝、その他食品機能
パン酵母由来細胞壁の満腹感増強作用の検証―ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験-
*畑中 美咲宮後 元徳田頭 素行石坂 真琴上野 貴生大谷 哲夫
著者情報
会議録・要旨集 オープンアクセス

詳細
抄録

【目的】酵母細胞壁は,酵母からエキス分の抽出した後に残るもので, 食物繊維やたんぱく質を多く含む成分である. 先行研究において, 酵母細胞壁に含まれるたんぱく質成分は, ホエイプロテインや大豆プロテインと比較して, 胃腸での消化が緩やかであることが明らかとなっている. 胃腸での消化が緩やかであることから, 血中グルコース濃度の上昇が緩やかになり,その結果, 中枢神経系を介した作用として, 胃の滞留時間が延長し, 末梢神経系を介した作用として, 満腹感の増強につながる可能性が示唆された. そこで、本研究では, パン酵母由来細胞壁は満腹感増強作用を有するか検証することを目的とした.

【方法】20名の健常成人を対象に, ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験を実施した. 試験食として, パン酵母由来細胞壁9.0gを含む飲料またはデキストリンで摂取カロリーを合わせたプラセボ飲料を摂取し, 摂取前から摂取240分後まで30分ごとに10項目(「満腹感」, 「満足感」, 「空腹感」, 「食欲」, 「元気」, 「活力」, 「集中力」, 「意欲」, 「気分」, 「イライラ」)のVASによる主観評価アンケートを実施した. また, アンケートと同時期に採血を行い、血漿中のグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)濃度を測定した.

【結果】9.0gのパン酵母由来細胞壁を摂取した群は, プラセボを摂取した群と比較して, 摂取30分後, 摂取60分後で満腹感が有意に増強した. また, 血漿中のGLP-1濃度は, パン酵母由来細胞壁を摂取した群で, プラセボ摂取群と比較して, 120分後から240分後まで有意に高い値を示した. さらに, 試験食に起因すると考えられる有害事象は認められなかった.

著者関連情報
© 2025 公益社団法人 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top