主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】
骨代謝は破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成のバランスにより維持されている.しかし,女性ホルモンの低下や加齢により破骨細胞の働きが優位になると,このバランスが崩れ,骨粗鬆症が発症する.Piper cubeba(P.cubeba)はインドネシアやインドなど亜熱帯地域で栽培されているコショウの一種であり,Cubebin(Cub)やHinokinin(Hin),Yatein(Yat)といったリグナン類を多く含むことが報告されている.そこで本研究ではP.cubeba由来リグナン類が骨代謝における破骨細胞と骨芽細胞に対して与える影響を検討することを目的とした.
【方法】
破骨細胞については,マウス大腿骨から単離した骨髄細胞(BMC)をマクロファージコロニー刺激因子であるM-CSFの存在下で培養し,骨髄由来マクロファージ(BMM)へと分化させた.次にBMMにM-CSFとNF-κB活性化受容体リガンドであるRANKL,さらに各種リグナン類を作用させ,破骨細胞分化マーカーである酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)を指標に評価した.一方,骨芽細胞については,マウス胎児頭頂骨由来の骨芽細胞にアスコルビン酸及びβグリセロールリン酸の存在下で各種リグナンを作用させ,アルカリフォスファターゼ(ALP)活性を評価した.さらに活性化ビタミンD3とPGE2の存在下で骨芽細胞株UAMS-32とBMとの共培養を行い5日後に,TRAP及びALP活性を評価した.
【結果】
BMM由来の破骨細胞ではCub,Hin,Yatにおいて濃度依存的にTRAP活性が低下し,多核成熟破骨細胞数も減少した.また,頭頂骨由来の骨芽細胞においてはCub,HinにおいてALP活性の上昇傾向が認められた.さらに,共培養においてはCub, Hin, Yatにおいて濃度依存的にTRAP活性を低下させ,Cub, HinにおいてはALP活性を上昇させる傾向を確認した.このことからP.cubeba由来リグナン類は破骨細胞の活性を低下させ,骨芽細胞の活性を上昇させ骨代謝を調節する可能性が示唆された.