主催: 公益社団法人 日本食品科学工学会
会議名: 日本食品科学工学会第72回大会
回次: 72
開催地: 日本大学生物資源科学部 湘南キャンパス
開催日: 2025/08/27 - 2025/08/29
【目的】生活習慣病の発症要因の一つとして酸化ストレスが挙げられる.酸化ストレスの高い状態が持続すると,心疾患や脳血管疾患などの原因となることから,生体内における活性酸素種の除去や抗酸化能の向上が重要である.本研究では,機能性食品素材及び食品添加物製剤として市販されている赤シソエキス(日農化学工業株式会社)が,細胞の酸化ストレス関連遺伝子の発現量に与える影響を検証することを目指した.さらに,赤シソエキスを分画し,各画分が当該遺伝子発現に与える影響を評価することで,有効成分の特定に向けた手掛かりを得ることを目的とした.【方法】赤シソエキスをエタノール,水で抽出し,それぞれエタノール画分,水画分とした.ヒト子宮頸がん(HeLa)細胞を播種し,24時間インキュベート後,赤シソエキス,エタノール画分,水画分のいずれかを含む培地と交換した.さらに24時間インキュベート後,細胞を回収し,RNA抽出,cDNA合成を行い,酸化ストレス関連遺伝子のmRNA発現量をReal-Time PCR法により測定した.【結果】赤シソエキスまたはエタノール画分の添加により,抗酸化関連遺伝子の活性化に関与するNF-E2-related factor 2(NRF2)およびheme oxygenase-1(HMOX1)の発現量が上昇した.よって,赤シソエキスは,KEAP1-NRF2経路の活性化に伴うHMOX1の発現上昇によりHeLa細胞の酸化ストレス耐性を向上させていることが示唆された.このとき,NRF2の抑制に関わるkelch like ECH associated protein 1(KEAP1)の発現量には変化が見られなかった.そのため,HMOX1の発現上昇は,NRF2の発現上昇もしくは核内移行の促進によるものと考えられた.また,これらの遺伝子発現に影響を与えた赤シソエキス中の成分は,エタノールに可溶な脂溶性成分であることが示唆された.