容装心理学研究
Online ISSN : 2436-3367
身体醜形懸念と関連する心理的要因および保護要因としての特性マインドフルネス
観察-受容理論に基づく横断的研究
陳 潔寅宮田 裕光
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2024 年 3 巻 1 号 p. 29-40

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抄録

本研究では,身体醜形懸念のリスク要因となりうる心理特性としての外見スキーマ,社会的比較志向性,自尊感情と身体醜形懸念との関連,および「観察-受容理論」に基づく特性マインドフルネスとその要素の身体醜形懸念に対する保護要因としての機能を,横断的方法により検討した。大学生を対象に,オンラインと紙媒体を併用した質問調査を行った。その結果,外見スキーマおよび社会的比較志向性は身体醜形懸念と有意な正の相関,自尊感情は身体醜形懸念と有意な負の相関を示した。また,特性マインドフルネスの「受容」要素の得点は,リスク要因から身体醜形懸念への影響を有意に部分媒介していた。特性マインドフルネスの「観察」要素は,これらの関連において有意な媒介効果を示さなかった。これらの結果は,特性マインドフルネスの「受容」要素がリスク要因から身体醜形懸念への影響を緩和しており,「観察」要素はそれらの影響を緩和していないことを示唆している。将来の研究では,マインドフルネスに基づく介入の効果検証において特に「受容」の側面に焦点を当てることが,身体醜形障害の予防のための有望なアプローチとなる可能性がある。

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© 2024 本論文著者
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