2016 年 44 巻 2 号 p. 53-57
RBP4は肝臓でレチノールに変換されたビタミン A(VA)を標的臓器(細胞)に輸送するタンパクである。 VAは様々な生理作用を持つことが知られ、黒毛和種の肥育は脂肪交雑形成を高めるために、肥育中期に VA給与を制限して行われている。これらのことから、 RBP4遺伝子の多型は脂肪交雑を始めとする枝肉形質に影響する可能性がある。そこで、これまでに黒毛和種で検出した RBP4 c.237C›G(同義置換)、c.355+26C›Tおよび c.∗50A›G(3′UTR)の 3 SNPsを肥育去勢牛集団について型判定し、脂肪交雑を始めとする枝肉形質との関連を解析した。さらに、 RBP4のこれらの塩基置換は子牛死亡の原因となる可能性もあるため、死亡した子牛の集団についても型判定を行い、両集団の遺伝子型頻度から、これら SNPsと子牛死亡の関連についても解析した。その結果、3 SNPsによる遺伝子型の特定の組み合わせの間で枝肉重量に有意差( P &lsaquo0.05)が検出され、 RBP4遺伝子が枝肉重量と関連する可能性が示されたが、これら SNPsは責任 SNPではないことが示唆された。また、子牛死亡集団と肥育牛集団における各 SNPの遺伝子型頻度に差がなく、これら SNPsは子牛死亡と関連しないことが示唆された。