主催: 日本経営学会
会議名: 日本経営学会第92回大会
回次: 92
開催地: 新潟国際情報大学
開催日: 2018/09/06 - 2018/09/08
p. 67-79
本稿は,かつて存在し,日本企業の強みの源泉であったと考えられている「会社主義」が,現在はどのような形態に変化し,また,その機能状態がどうなっているのかを調査・考察するものである。調査・考察するにあたっては,可能な限り長いスパンで定点的に行われている種々のアンケート・データと,筆者が行ったインタビュー調査を使用した。主な結論は次の通りである。まず,日本企業の被用者らの「終身雇用」,「年功序列」に対する意識は,おおむね肯定的であり,現在においてもその雇用形態を望む声が多い。しかし,会社そのものへの帰属意識や忠誠心は,世代を経るにつれて希薄になっている。一方,企業側は,ステークホルダーとして従業員を重視する姿勢は見せつつも,景気・業績の状況に応じて人員調整をしているケースが多い。以上の事から,現状において,「会社主義」的な特徴は,形としては観察されるものの,その内実はかつてのものとは異なっており,それ故に,日本企業の強みの源泉として機能しているとはいえそうにない。