消費者行動研究
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論文
パーソナル化の知覚がモバイルアプリの利用行動に与える影響
田部 渓哉
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2016 年 23 巻 1 号 p. 1_23-1_46

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抄録

パーソナル化された情報を提供するモバイルアプリを対象に、消費者の利用意思決定過程を明らかにした。個人情報の管理に基づいて、提供する情報を消費者ごとに峻別するモバイルアプリが普及している。これらのモバイルアプリの有益性は、情報のパーソナル化によって高められていると推測できるが、消費者がこのようなモバイルアプリを利用する仕組みを明らかにする実証的研究は少ない。本研究では、情報通信技術の利用行動とパーソナル化知覚に関する先行研究を整理し、技術受容モデルを敷衍して導出した仮説を、アンケートによる量的調査によって検証した。仮説の検証を通じて、パーソナル化知覚が、知覚容易性、知覚利便性、モバイルアプリの利用に対する態度を介して、モバイルアプリの利用意図に影響する点を明らかにした。さらに、パーソナル化に用いる情報の質的な違いが、モバイルアプリの利用意思決定過程に影響を及ぼす点も示した。最後に、実証成果から導かれる学術的、実務的示唆を整理し、研究の限界点と今後の課題を示した。

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© 2016 日本消費者行動研究学会
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