2017 年 24 巻 1 号 p. 1_1-1_26
近年、消費者の感覚への訴求を重視したセンサリー・マーケティングに注目が集まっている。その一方、消費者の感覚のうち、触覚を議論した研究はそれほど多くない。そこで本稿では、触覚の主要な属性の中でも重さを取り上げる。特に、消費者の個人特性や視覚的表現との組み合わせから、重さが製品や広告の評価に好ましい影響を及ぼす条件を明らかにしていく。調査対象の製品カテゴリーを変えながら実施された実験1から実験3では、日ごろから触覚による情報を重視する接触欲求の高い消費者において、重さが知覚品質を向上させることが明らかにされた。また、実験4からは、接触欲求の高い消費者において、重さと視覚的表現が一致した意味を提供する場合に評価が向上する可能性が示唆された。