消費者行動研究
Online ISSN : 1883-9576
Print ISSN : 1346-9851
ISSN-L : 1346-9851
論文
購買に伴う待ち時間が消費者行動に与える影響
購買段階を考慮した待ち時間研究の体系化に向けて
磯田 友里子
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 24 巻 2 号 p. 2_73-2_100

詳細
抄録

サービス・マーケティングの分野では、伝統的に、待ち時間は顧客満足に負の影響を与えると考えられてきた。一方、近年消費者行動研究の分野では、消費者が自ら消費を先送りして待ち時間を楽しんだり、待ち時間から高品質を連想したりするといった現象に注目が集まり、研究成果が蓄積されつつある。マーケティングにおける待ち時間研究は、その学際性の高さゆえに、矛盾や競合する研究結果が多数見受けられる。しかし、全体の研究を俯瞰、整理した論文は見当たらず、矛盾や競合関係が生じる原因にまで踏み込んだ議論は行われていない。そこで本稿では、レビューを通して知見の体系化を図った。レビューの結果、調査設計上の相違に加え、「期待─不一致」「成果の正負」「消費者知識」が、待ち時間による効果の正負を規定しうることを明らかにした。最後に、待ち時間研究の今後の課題について議論を行った。

著者関連情報
© 2018 日本消費者行動研究学会
次の記事
feedback
Top