抄録
Push-out試験でのき裂進展の初期状態を,有限要素解析を用いて解析した。エネルギ解放率の計算では,熱残留応力および周辺繊維の影響を考慮した。圧子側と支持側のき裂に対するエネルギ解放率の比較から,以下の結論が示された。母材が樹脂の複合材料に相当する母材の弾性率が低い場合には,支持側からはく離が発生する。母材がセラミックスの複合材料に相当する母材の弾性率が高い場合には,圧子側からはく離が発生する。さらに,この解析のガラス基複合材料(SiC/LAS)でのPush-out試験の実験結果への適用を試みた。SEM観察から,圧子側先端に長さ5µmの炭素コーティング層のはく離が見られた。実験での荷重‐変位線図の傾きは,界面を完全接着だと仮定したときのFEMシミュレーションと一致した。SiC/LASの界面破壊じん性は,Push-out試験の変位と初期はく離長さから,26J/m2と計算で求まった。