日本接着学会誌
Online ISSN : 2187-4816
Print ISSN : 0916-4812
ISSN-L : 0916-4812
研究論文
Push-out試験での界面き裂進展における母材弾'性率の影響の数値解析およびその実験評価への応用
牧野 一成五十嵐 泰昭井上 忠信北條 正樹田中 基嗣落合 庄治郎
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 37 巻 7 号 p. 266-272

詳細
抄録
Push-out試験でのき裂進展の初期状態を,有限要素解析を用いて解析した。エネルギ解放率の計算では,熱残留応力および周辺繊維の影響を考慮した。圧子側と支持側のき裂に対するエネルギ解放率の比較から,以下の結論が示された。母材が樹脂の複合材料に相当する母材の弾性率が低い場合には,支持側からはく離が発生する。母材がセラミックスの複合材料に相当する母材の弾性率が高い場合には,圧子側からはく離が発生する。さらに,この解析のガラス基複合材料(SiC/LAS)でのPush-out試験の実験結果への適用を試みた。SEM観察から,圧子側先端に長さ5µmの炭素コーティング層のはく離が見られた。実験での荷重‐変位線図の傾きは,界面を完全接着だと仮定したときのFEMシミュレーションと一致した。SiC/LASの界面破壊じん性は,Push-out試験の変位と初期はく離長さから,26J/m2と計算で求まった。
著者関連情報
© 2001 一般社団法人 日本接着学会
前の記事 次の記事
feedback
Top