抄録
異種材料を接着して構成された複合建材を,廃棄時に加熱するだけで分離できるようにし,リサイクルを可能とする建材業界初の「解体性接着技術」を開発した。百数十度の加熱により,接着剤ポリマーの柔軟化と熱膨張性マイクロバルーンの膨張が同時に起こることで,接着力を失い容易に分離可能となる。 本論文では石膏ボードと金属,並びに樹脂化粧シートと木質材複合体の分離性検討を報告する。エマルジョン系解体性接着剤は,マイクロバルーンを5~20%配合した組成が接着性と分離性の両立に有効であった。促進耐久性評価として,60℃-95%RHで30日間暴露した後も接着力の低下は認められず,またその後の150~180℃で2分間の遠赤外線加熱において分離も容易であった。開発技術において,接着工法は従来の接着剤と同様,また加熱分離作業は数分と非常に短時間でよく,性能のみならず,工法面,コスト面においても有効な技術と考えられる。