日本接着学会誌
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研究論文
エマルジョン系解体性接着剤と接着強度,解体l性の評価
石川 博之瀬戸 和夫前田 直彦下間 澄也佐藤 千明
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2004 年 40 巻 4 号 p. 146-151

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抄録
異種材料を接着して構成された複合建材を,廃棄時に加熱するだけで分離できるようにし,リサイクルを可能とする建材業界初の「解体性接着技術」を開発した。百数十度の加熱により,接着剤ポリマーの柔軟化と熱膨張性マイクロバルーンの膨張が同時に起こることで,接着力を失い容易に分離可能となる。 本論文では石膏ボードと金属,並びに樹脂化粧シートと木質材複合体の分離性検討を報告する。エマルジョン系解体性接着剤は,マイクロバルーンを5~20%配合した組成が接着性と分離性の両立に有効であった。促進耐久性評価として,60℃-95%RHで30日間暴露した後も接着力の低下は認められず,またその後の150~180℃で2分間の遠赤外線加熱において分離も容易であった。開発技術において,接着工法は従来の接着剤と同様,また加熱分離作業は数分と非常に短時間でよく,性能のみならず,工法面,コスト面においても有効な技術と考えられる。
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© 2004 一般社団法人 日本接着学会
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