抄録
界面接着エネルギーとそれにより発現する接着剤/被着体間の接着強度について解明することが本研究のねらいである。今回,分子軌道法の一種である密度汎関数法を使って接着剤/被着体間の界面接着エネルギーの算出を試みた。計算プログラムとしては300原子以上の多原子系でも高精度で計算が出来るものを用いた。モデル接着剤としては共重合モル比6/0,5/1,4/2のブチルアクリレートとアクリル酸との共重合体を,そして被着体としては金面,およびポリジメチルシロキサン面を設定した。これらの接着剤/被着体の組合わせで実際の接着強度を測定し,算出されたエネルギー値と比較してみた結果,両者の間には相関性が見られた。また,ポリマー中のアクリル酸含量が増加するほど,金面との相互作用が強くなる原因を理解するため,エネルギー分割計算を行ってみた。その結果,アクリル酸はブチルアクリレートと比較して,金面に対して強い分極相互作用,静電相互作用を示し,そのため相互作用全体が強いものになることがわかった。