日本接着学会誌
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40 巻, 7 号
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総説
総説
研究論文
  • 西山 勇一, 佐藤 千明, 宇都 伸幸, 石川 博之
    2004 年 40 巻 7 号 p. 298-304
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2014/11/30
    ジャーナル フリー
     近年,リサイクルの観点から使用後に剥がせる接着剤,いわゆる解体性接着剤が要求されている。そこで我々は,熱膨張性マイクロカプセルを混入した,加熱により剥離可能な新しい種類の解体性接着剤を開発した。このマイクロカプセルおよび解体性接着剤の熱膨張を,PVT測定器を用い,任意の圧力に対して測定した。マイクロカプセルは,大気圧および1MPaの圧力下で60℃より膨張を開始し,2MPaおよび3MPaでは80~90℃で膨張を始めた。また,このマイクロカプセルは大気圧下では100℃で60倍以上膨張したが,1MPaでは10倍以下であった。さらに,解体性接着剤もマイクロカプセルと同様に膨張した。同様に,解体性接着剤の体積弾性率もPVT測定器により測定した。
研究論文
  • 江部 和義, 妹尾 秀男, 杉野 貴志, 山崎 修
    2004 年 40 巻 7 号 p. 289-297
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2014/11/30
    ジャーナル フリー
     半導体集積回路形成済みチップの積層に用いるペースト状接着剤に起因する問題を解消し,更に半導体製造プロセスを簡略化するため,紫外線(UV)硬化型粘着組成物にエポキシ樹脂ならびにエポキシ樹脂用潜在性硬化剤を配合することを検討した。種々配合物の特性を調べた結果,メタクリル酸グリシジル(GMA)を一成分とするアクリル酸エステル共重合体に,液状および固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂とフェノールノボラック型エポキシ樹脂をそれぞれ併用して配合することで良好な粘接着特性が得られた。すなわち,UV硬化型モノマーを添加してプレキュアすることで半導体ウエハを切断分割(ダイシング)する際のチップ接触破損を防止でき,チップと同一サイズの粘接着剤層を基材から容易に取り出すこと(ピックアップ)ができた。さらにプレキュアした配合物を加熱硬化すると,弾性率が150℃以上の高温においても1×106Paに達して接着剤として機能するようになった。また,汎用ダイシングテープならびにペースト状接着剤と比較した結果,いずれも優れた性能を示しダイシング機能とチップ接合機能を兼備した,全く新しい半導体製造用粘接着剤に成り得ることを見出した。
研究論文
  • 南崎 喜博, 田中 良和, 小林 金也
    2004 年 40 巻 7 号 p. 282-288
    発行日: 2004/07/01
    公開日: 2014/11/30
    ジャーナル フリー
     界面接着エネルギーとそれにより発現する接着剤/被着体間の接着強度について解明することが本研究のねらいである。今回,分子軌道法の一種である密度汎関数法を使って接着剤/被着体間の界面接着エネルギーの算出を試みた。計算プログラムとしては300原子以上の多原子系でも高精度で計算が出来るものを用いた。モデル接着剤としては共重合モル比6/0,5/1,4/2のブチルアクリレートとアクリル酸との共重合体を,そして被着体としては金面,およびポリジメチルシロキサン面を設定した。これらの接着剤/被着体の組合わせで実際の接着強度を測定し,算出されたエネルギー値と比較してみた結果,両者の間には相関性が見られた。また,ポリマー中のアクリル酸含量が増加するほど,金面との相互作用が強くなる原因を理解するため,エネルギー分割計算を行ってみた。その結果,アクリル酸はブチルアクリレートと比較して,金面に対して強い分極相互作用,静電相互作用を示し,そのため相互作用全体が強いものになることがわかった。
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