日本接着学会誌
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研究速報
含硫黄ポリマー改質エポキシ樹脂硬化物の銅箔に対する接着性
平野 寛野口 一輝中村 吉伸門多 丈治千金 正也長谷川 喜一
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2008 年 44 巻 4 号 p. 132-135

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抄録
エポキシ樹脂は優れた熱的・力学的・電気的性質を有しており,金属との接着性が良好であることも特長であるが,難接着性の金属(銅・金など)に対する接着力は十分ではなく,電気・電子材料分野ではその向上が求められている。本研究では,難接着性金属である銅や金に対する接着性に優れたエポキシ樹脂の開発を目的とし,分子鎖に硫黄を含んだポリエステルやポリチオエステルを改質剤としてエポキシ樹脂へ添加し,その酸無水物による硬化物の銅箔への接着力を90°剥離試験により調べた。その結果,銅箔の凹凸面に対してはほとんどの改質系で剥離強度が向上した。その剥離界面のSEM観察において,未改質系では銅箔の凹凸部/エポキシ樹脂の界面で剥離していたが,剥離強度が大きく向上した系ではエポキシ樹脂が凹凸部にかなり残っており,界面接着性が向上したことが予想される。一方,銅箔の平滑面ではポリスルフィドチオエステルを改質剤に用いた2つの系でのみ剥離強度の向上が見られた。
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© 2008 一般社団法人 日本接着学会
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