抄録
本研究では,通電により接着界面の強度が低下する通電剥離接着剤を取り上げ,その接着接合部の強度低下に及ぼす通電処理の影響を実験的に調べた。試験には,組み合わせ応力状態での強度を測定できるARCAN試験法を用い,本試験片に通電を行った後の残存強度を測定した。この結果,通電条件が同じ場合は,強度の低下が応力成分の比率に依存しないことが分かった。また,同一の応力成分の比率では,試験片の残存強度は通過電気量面密度に依存し,かつ印加電圧には依存しないことが分かった。この二つの結果から,応力状態や印加電圧によらず,継手の残存強度を,各応力成分比率における初期強度と,通過電気量面密度より予測可能であることを明らかにした。さらに,本理論を実際の分離機構に応用できるか検証するため,バイアスばねを有する簡易な分離機構を作製し,試験を行った。この結果,本報告で示す残存強度評価法により,分離機構の挙動を良好に予測できた。