抄録
水系アクリルエマルションに単層カーボンナノチュー (SWCNT) を導入したコンポジット粘着剤を作製した。 SWCNT の分散過程において,カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびルチンを共添加すると水媒体への微分散が可能であることが明らかになった。透過型電子顕微鏡観察および電気抵抗測定より,作製したコンポジット中, SWCNTはエマルション粒子界面で偏在化していると推定された。マトリックスポリマーに対して SWCNT を0.43phr添加すると導電ネットワークの形成が確かめられ,1.41phr添加した場合,コンポジットの体積抵抗率は6.37×10⁰Ωcmであった。 SWCNT の偏在のため,低い SWCNT 含有量で低抵抗率を発現したことに加え,エマルション粒子間の強度の低い領域を補強することにより,高温下での耐クリープ剥離性やせん断強度も向上した。