2015 年 51 巻 7 号 p. 375-380
くっつけるのが難しい場面がある。水の中での接着はそれに当たる。じゃぶじゃぶと水で洗った後で,ぱっとくっつけて次の工程に移る。そのようなことがもしできたならば,もの作りの現場は必ず変わっていくはずである。一方でいろいろな生き物が水の中でくっついている。彼らは個々に独自の接着システムを持っているが,それらは予想を遥かに超えて複雑である。その機構を明らかにしようとする研究が続けられているが,多くの因子が絡み合った接着という複雑な現象に対して,進化の中で降り積もった様々な仕掛けをすっきりと理解することは容易ではない。本稿では,水の中でくっつく生き物の中でも分子レベルで研究が進んでいるイガイとフジツボを中心に,生物の接着界面のデザインについて考えてみたいと思う。