2017 年 53 巻 2 号 p. 49-55
本研究では,主成分をアルミナとし,バインダーがリン酸アルミニウムの無機接着剤の高温ヤング率に及ぼす熱処理温度の影響について調べた。まず,高温炉内につるした棒状バルク試験片を炉外上部から落とした鋼球により衝撃加振し,その固有振動数を振動音から分析し,室温から900℃まで試験片の固有振動数を測定した。その後,ベルヌーイ・オイラー梁理論を用いて,固有振動数からヤング率を求めた。さらに,高温下において静的曲げ試験を行い,高温衝撃加振実験の結果を検証した。その結果,二つの実験方法で測定したヤング率の温度依存性の傾向はよく一致した。本研究の結果,リン酸アルミニウムをバインダーとした無機接着剤の高温下におけるヤング率の温度依存性を簡便に測定する方法を示し,この材料の高温特性を明らかにした。