2023 年 59 巻 2 号 p. 41-48
構造用接着剤では長期信頼性の観点から,疲労荷重下においても凝集破壊する接着剤が求められている。本論文では,疲労荷重下において凝集破壊する長寿命エポキシ接着剤について検討を行った。接着剤としてビスフェノールA グリシジルエーテル型エポキシ樹脂,接着層へき裂を誘導するフィラーとしてグラフェン積層体を選び,二軸混練機を用いて凝集体がなくなるまでエポキシ樹脂中に分散させた。疲労試験は,せん断引張接着試験片を用いて行った。未添加の接着剤では全面が被着体との界面破壊であったが,グラフェン積層体を添加した場合,0.1wt%以上の添加でほぼ全面が凝集破壊へと変化した。しかしながら,疲労試験における破断サイクル数は未添加の接着剤よりも低くなった。コアシェルゴム粒子を用いてエポキシマトリックスを強靭化した結果,グラフェン積層体0.1wt%,コアシェルゴム5wt%を添加した接着剤は,高い凝集破壊率を維持しながら,破断サイクル数は未添加系の5 倍と優れた耐疲労性を示した。グラフェン積層体間のエポキシマトリックスの破壊エネルギーを上げることが長寿命化の鍵であることがわかった。