2024 年 60 巻 4 号 p. 82-88
本研究の目的は,炭素繊維 / 母材樹脂間の界面接着せん断強度(IFSS)に及ぼす負荷ひずみ速度および母材への微細ガラス繊維(sGF)添加の効果を明らかにすることである。炭素繊維を埋没させたモデル複合材料試験片を用意し静的および動的ひずみ速度の条件下においてフラグメンテーション試験を行うことでIFSSを測定した。その結果,未改質な母材を用いた場合,IFSS は負荷ひずみ速度の増加に伴い低下した。また,静的ひずみ速度条件では,IFSS に及ぼすsGF添加の効果は現れなかった。一方,sGFを添加した場合のIFSS は未添加の場合のそれらと比べて静的ひずみ速度条件では低下したが,高ひずみ速度条件では約40%向上した。高ひずみ速度条件では繊維の破壊形態は本来生じる引張破壊だけでなく,繊維破断時の圧縮弾性波によりせん断破壊も生じたため,フラグメント長の分布のピークは2 つに分かれた。一方,sGFを添加することでフラグメント長の分布のピークは1つに収斂し,負荷ひずみ速度の増加に伴うIFSS の低下も抑制した。sGFと母材樹脂間の局所界面はく離が圧縮弾性波による炭素繊維のマクロなせん断破壊を抑制した。