障害科学研究
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Print ISSN : 1881-5812
実践報告
知的障害を伴う自閉スペクトラム症児に対する選択肢のある要求行動の形成とQOLの評価
前田 久美子佐々木 銀河野呂 文行
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2016 年 40 巻 1 号 p. 185-197

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抄録

知的障害児者における生活の質(QOL)の変化を評価することは困難であると示唆されている。本研究では、知的障害を伴う自閉スペクトラム症児の要求行動の改善において、対象児の好みの活動のメニュー表を用いた指導の有効性を検証した。対象児は家庭の自由時間において自発的に要求をすることに困難を示していた。本研究の 目的は、(1)対象児の要求行動の改善における指導の有効性(行動的QOL)、および (2)対象児の母親と姉による指導の社会的妥当性(主観的QOL)を評価することであった。対象児の自発的な要求行動の割合、メニュー表における写真選択の正確性および対象児によって選択された活動の種類数に関するデータが大学と家庭の両方において評価された。指導の社会的妥当性を評価するために、指導の前後において、母親と姉の指導に対する考え方に関するアンケートを行った。結果、対象児の自発的な要求行動およびメニュー表の写真選択の正確性が増加した。加えて、対象児の母親と姉は指導に対してポジティブな考え方を示した。今後の課題と実践への示唆が考察された。

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