本研究では、場面緘黙の症状を主訴として指導を受け、場面緘黙の改善後、吃音の問題が表面化した小学校2年生の男児を対象に、1年3か月間の吃音症状軽減を目指した指導介入を行った経過を報告する。セラピストとのLidcombe Programにおけるセラピー場面では、重症度評定と非流暢性頻度の明らかな低下はみられなかったが、母親との遊び場面での重症度評定は低下した。また、3文節以上の発話では1~2文節発話と比較して高頻度に非流暢性が生起していた。さらに、3文節以上の発話にのみ、語尾や句末の繰り返しが生起していた。今後は言語的側面を精査するとともに、母親との場面と同等の流暢性を維持できるよう、セラピー場面設定の調整が必要であることが示唆された。