本研究では年長のASD児2名を対象とし、保護者によるビデオ教材を用いた就学移⾏支援を実施し、対⼈・集団⾏動ルールの獲得に及ぼす効果を検討した。保護者への聞き取りと⾏動観察の結果から、就学に向け必要とされる対⼈場面9種類、集団場面18種類の⾏動ルールを選定し、⾏動ルールの表出を標的⾏動とした。研究計画は⾏動間多層プローブデザインを用いた。保護者はビデオ教材が入ったタブレット端末を持ち帰り、対⼈・集団場面における適切な⾏動の観察を家庭で促し、⾏動ルールや具体的な発話を復唱または自発した場合に言語賞賛を⾏った。さらに⼤学のプレイルームでは、参加児が選択した場面のロールプレイを支援者と⾏った。その結果、両参加児は対⼈・集団場面における⾏動ルールを獲得した。さらに保護者による対⼈スキル・集団生活スキルに関する⾏動チェックシートの評定もいくつかの項目において改善がみられ、就学から約4ヶ月経過後も維持した。