2021 年 45 巻 1 号 p. 241-254
本研究では、児童発達支援事業所の支援員1名に、ペアレント・トレーニングの実施に関するコンサルテーションを行った。支援員は、4名の自閉スペクトラム症のある幼児の保護者に対して、全6回のペアトレント・トレーニングを行い、その有効性を保護者記録における子どもの標的行動の変容から評価した。また、支援員からの保護者に対するフィードバックを分析し、フィードバックがトレーニング効果に与えた影響を検討した。まず、支援員は実施方法に関する講義を研究実施者から受けた。各回実施後には、その回の内容を計画通りに行うことができたかどうかと、保護者が演習で行った内容について、研究実施者と電話協議した。ペアレント・トレーニングの内容は、標的行動とその記録方法、先行子操作、強化子の提示という結果操作から構成された。その結果、3名の保護者が子どもに最低1つの標的行動の獲得を促すことに成功した。フィードバックの分析から、「具体的称賛」や「子どもに関する発言」などを支援員に促進する手続きを検討する必要性が示唆された。