本研究では、聴覚障害当事者6 名の語りを質的に分析することを通して、聴覚障害学生の意思表明スキル獲得および活用のプロセスを明らかにすることを目的とした。 その結果、大学入学前は、情報が得られずともわからないままにし、第三者が代わりに意思表明する状態であったが、入学を機に自ら声を上げる必要性に気づくとともに、情報保障体験を通して支援の必要性も認識していた。その後、支援者養成への参加や他者との関わり、自己を語る経験を経て自分の意思が明確になり、目的意識の高まりとともに徐々に自ら意思表明していく様子がうかがえた。スキル獲得後は、過去の経験を活用しながら建設的対話を行い、一方では自身の立場や状況に応じて、あえて意思表明しないことを選択するなどスキルを活用していた。この意思表明スキル獲得および活用プロセスは、必ずしも直線的かつ一方向的なものではなく、循環的に発展していくという特徴が見いだされた。