抄録
本研究では、発語のない自閉スペクトラム症 (ASD) 児1名を対象に、マニュアル・サインによる新しい語彙の習得を促進する方法の1つとして刺激性制御シェイピング手続きの効果を検討した。研究計画はA (分化強化) B (刺激性制御シェイピング) +プローブデザインを用いた。具体物の描かれたカードに対応するマニュアル・サインの表出を標的行動とした。指導者は提示するカードを、マニュアル・サインを示した線画から、具体物を示した線画へと段階的に刺激の物理的形状を変更 (シェイピング)した。従属変数は具体的な事物に対応するマニュアル・サインの生起率とした。その結果、分化強化で獲得が困難であった3種の具体物の全てにおいて対応するマニュアル・サインを習得したが、プローブ条件では介入が新しいものから順に正反応率が低下した。この結果について、シェイピングの形状が刺激によって異なる点と試行回数の違いによる影響について考察した。