睡眠時ブラキシズムは,歯の咬耗や破折,顎関節症や緊張性頭痛の発症など,歯科疾患の要因となっている。一方,アロマテラピーはリラックス作用を有し,ストレス軽減や鎮静作用などが期待できる。本研究では精油の嗅覚刺激による睡眠中の咬筋活動(律動性咀嚼筋活動:RMMA)の変化を調査することにより,睡眠時ブラキシズムに対する効果を検討することを目的とした。方法:被験者49名に対して,ベルガモット(Citrus bergamia)とマージョラム(Organum majorana)の精油を用い,終夜の咬筋活動の測定を行った。測定開始2日間は非介入,3日目は1種類の精油での睡眠,4日目は非介入,5日目は別の精油,最終日は非介入で測定し,2日目の非介入と各精油による比較を行った。結果:RMMAはマージョラムにおいて非介入よりも有意に減少した。重度ブラキシズム群では,軽度および非ブラキシズム群に比べ,どちらの精油にも効果があったものが多かった。結論:マージョラムは睡眠時ブラキシズムを軽減させた。重度ブラキシズム群ではマージョラム,ベルガモットともに睡眠時ブラキシズムが減少した。