日本原子力学会 年会・大会予稿集
2004年秋の大会
セッションID: C39
会議情報
低減速スペクトル,BWR,燃料無交換
高経済性低減速スペクトルBWRに関する技術開発(17)
TRACG02modT1コードによる三次元過渡解析
*安部 信明武内 豊櫻井 俊吾平岩 宏司師岡 慎一
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抄録
1. はじめに 低減速スペクトルBWRでは従来のBWRと異なり、熱中性子以外の高速中性子・共鳴中性子の挙動が重要になってくる。本報では中性子挙動を多群三次元、熱水力挙動を三次元で解く三次元核熱結合解析コードTRACG02modT1を用いて実施した過渡解析結果について報告する。TRACG02modT1コードは近代ノード法(解析的多項式ノード法)に基づく三次元炉心シミュレータNEREUS相当のモデルを組み込み、ストリーミングチャンネルを有する本炉心の過渡解析も評価可能である。2. 解析モデルおよび条件 低減速スペクトルBWRに対するTRACG02modT1のノード分割を図1に示す。低減速スペクトルBWRプラント全体をノードに分割して非均質非平衡二相流の流体保存則を解き、各部の圧力・流量・温度変化を求める。原子炉圧力容器は軸方向15、径方向4のVSSLコンポーネントで三次元的に模擬している。低減速スペクトルBWRの208体の燃料集合体(通常燃料チャンネル132体、ストリーミングチャンネル76体)は軸方向のレベル4から7の間に各燃料集合体の出力に応じて11のCHANコンポーネントで模擬した。炉心はBWR炉心設計手法を用いて求めた平衡炉心であり、図1のように通常燃料チャンネルとストリーミングチャンネルは千鳥格子状に配列され、中性子挙動は3群モデルで評価した。3. 解析結果 低減速スペクトルBWRの代表的な過渡変化として原子炉冷却材流量の部分喪失(再循環ポンプ3台リップ)を選定した。図2に主要パラメータの変化を核ポイントモデルと比較する。主要パラメータの変化は核ポイントモデルと三次元核熱計算モデルでほぼ同じである。しかしながら、三次元核熱結合モデルの方が原子炉出力の低下が小さく、その結果、MCPRの低下が大きい。原子炉出力の低下が三次元核熱結合で小さいのは本手法での等価的なボイド反応度係数が核ポイントモデルでのボイド反応度係数より小さいことによる。また、三次元核熱結合モデルでは原子炉出力と炉心流量のミスマッチが大きいことと、MCPRが発生するホット燃料集合体の出力低下が小さいことにより、ΔMCPRが大きくなっている。4.まとめ 低減速スペクトルBWRの代表的な過渡変化を多群三次元核熱結合手法で評価した。その結果、過渡特性な観点から低減速スペクトルBWRのプラント成立性の見通しを得た。
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© 2004 一般社団法人 日本原子力学会
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