抄録
様々な分野で期待されている高速中性子イメージセンサーの開発を目指して、有機液体シンチレータ中に波長シフトファイバーを挿入した方式の高速中性子画像計測原理を提案している。これまでの研究で検出器応答を計算する光子挙動モンテカルロシミュレーションコードを作成し、一次元の入射中性子位置情報を実験的に得ると共に、パルス波形弁別手法に基づくn-γ弁別性能、コードの妥当性を確認している。今回は、入射中性子二次元位置情報の取得を目指し、シミュレーション計算を通して画像精度の中性子入射位置依存性を評価した。
有感領域の端付近において得られる画像は真の入射位置から数mm程度のずれを示すものの、有感領域の大部分においては高精度の画像を取得できることを確認した。応答関数の改良や、有感領域をあらかじめ拡大しておく等の処理を施すことで目的の有感領域においてより高精度の入射中性子画像が得られる。今後は実験的検証を行っていく。