ヘルスプロモーション理学療法研究
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原著
要介護高齢者の歩行テストは最適歩行と最速歩行のどちらで評価すべきか
―再現性と妥当性の検討―
大熊 美穂西 起成村田 伸
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2012 年 2 巻 1 号 p. 1-4

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抄録

本研究は,要介護高齢者23名(平均年齢78.6±10.6歳)を対象に,最適歩行と最速歩行の再現性と妥当性について検討した。最適および最速歩行をそれぞれ2回実施し,級内相関係数により再現性を検討した。また,妥当性についてはFunctional reach test(FRT),Frail CS‐10との相関係数を求めて検討した。その結果,最適・最速歩行における歩行速度や歩行率などの各歩行因子の再現性は概ね高かったが,最適歩行時の総軌跡長は0.67と再現性が低かった。また,最適・最速歩行における多くの歩行因子とFRT ならびにFrail CS ‐10との間に有意な相関が認められた。ただし,最適歩行における歩隔と総軌跡長は,Frail CS‐10との間に有意な相関は認められなかった。これらの知見から,最適・最速歩行はともに良好な再現性と妥当性が確認されたが,その人の持つバランス能力を評価するためには最速歩行の方がより優れていることが示唆された。

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© 2012 日本ヘルスプロモーション理学療法学会
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