2009 年 18 巻 6 号 p. 591-594
【目的】当院で2007年度に施行した頸動脈ステント留置術(CAS)症例と頸動脈血栓内膜切除術(CEA)症例を比較検討する.【対象】2007年 4 月 1 日から2008年 3 月31日までのCAS(9 例10病変)およびCEA(9 例 9 病変)症例.CASは原則的にCEAハイリスク症例を適応とした.術後30日以内の治療対象側の症候性脳梗塞,術後心筋梗塞,患者死亡,術後MRI拡散強調画像(DWI)を比較検討した.【結果】両群とも30日以内の治療対象側の症候性脳梗塞の発生,脳神経合併症,術後心筋梗塞,患者死亡は発生しなかった.CASは10施術中10例,CEAは 9 施術中 7 例に術後 7 日以内のMRIを施行.CASでは70%に,CEAでは 0%のDWIのhigh intensity lesionが発生した(χ2 = 8.33,p = 0.0039).【結論】CASはCEAがハイリスクとされる患者に対しても,臨床神経学的な合併症の発生なしで施行が可能であった.CASは高頻度に微小脳塞栓症を発生するため,その適応は慎重にするべきである.