抄録
本研究では、先進型高速炉の有力な構造材料の1つである改良9Cr鋼の溶接部周囲の微視組織をモデル化した多結晶体モデルを開発し、60年の長期使用を想定した改良9Cr鋼溶接材のクリープ解析およびそれに基づくクリープ寿命予測を行った。本研究で得られた主な結論は次の通り。1)溶接材内の静水圧応力の分布から、 細粒HAZ組織はType IV損傷の起点となるクリープ・ボイドを発生し易くしていることが明らかとなった。2)溶接部周囲の微視組織を模擬した多結晶体モデルのクリープ破断線図は実験で求められた線図とよく一致したが、微細HAZ部とその他の部分を等方性と考えた複合体モデルは危険側の推定を与える傾向があることが分かった。3)等方性複合体モデルのクリープ強度は多結晶体モデルのそれよりも高くなった。これは、前者では細粒HAZ部の応力がほぼ一様だったのに対して、後者では応力集中が顕著に起こったことが原因と推察された。